井戸川前町長の発言は「風評」の問題ではない(たんぽぽ舎)

たんぽぽ舎【TMM:No2169】メルマガから転載

┗■2.井戸川前町長の発言は「風評」の問題ではない
 |  井戸川前町長の被曝は「風評」ではなく測定上の事実である
 |  合計すると短期間で数十mSvの被曝に相当する可能性がある
 └──── 上岡直見(環境経済研究所)

 漫画「美味しんぼ」の井戸川元町長のコメントに関して、被曝と健康被害を否定する主張がなされている。しかし事故当時の現地の異常な状況を考える必要がある。下図は筆者が作成したものであるが、単に福島県の公開データから双葉町内の空間線量率と累積線量(表示はGy)を示したものである。データの欠落もあるが値は空間線量率のみで、原発に近く粒子状物質の懸濁が多かったはずの現地では呼吸経由の被曝も同程度の寄与の可能性がある。
  http://homepage3.nifty.com/sustran-japan/datafile/futaba.pdf
 井戸川前町長は、住民や福祉施設入所者の避難のためにみずから屋外を奔走していたことが文献(『避難弱者』東洋経済新報社)に記録されている。防護服は着ていたようであるがマスクもなく、高線量下では効果は乏しい。漫画については、現在の福島第一原発を短時間見学しただけで、直ちに健康被害が出るとは関連づけられないという評価はあるだろうが、それを逆手に取って井戸川前町長の健康被害まで風評扱いするのは筋違いである。
 事故直後の空気中の放射性物質濃度(Bq/m3)はもはや測定しようがなく、またGyとSvの換算のところでも不確実性があるが、合計すると短期間で数十mSvの被曝に相当する可能性がある。一般に微粒子は気流に乗って空気と同じ挙動を示すが、原発の至近距離では大きな粒子が飛んで、MPではわからない局所的な高濃度が出現した可能性もある。諸々の不確定要素が大きな方に作用した場合には、一般に言われるICRPの基準を適用するとしても、日常生活とは桁ちがいの被曝であり、健康影響との因果関係が否定できない領域になる。
 井戸川前町長の被曝は「風評」ではなく測定上の事実である。町長と行動を共にしていた職員や、避難の遅れた住民も、同等の被曝をしていると考えられる。被曝と健康影響が関係ないと主張する者は何を根拠にしているのか。そもそも「風評」の原因を作ったのは誰か。漫画に乗じて井戸川前町長の発言を風評扱いするのは、福島事故をなかったことにするために、議論そのものを無視しようとする悪質な世論操作である。

たんぽぽ舎のメルマガからの転載ここまで

ところで、風評被害と抗議している双葉町の記事録に鼻血の報告が書いてあります。


☆第10回双葉町復興まちづくり委員会 議事録 
URL http://www.town.fukushima-futaba.lg.jp/secure/4121/20130403_10thiinkai_gijiroku.pdf 

以下抜粋して転載します。

888 【髙野 重紘 委員】
889 今木村先生が言ったことで、私は 3 月 12 日の朝 7 時半にもう既に逃げまして、郡山から蔵王 
890 まで逃げたんですが、実は私は体内被曝をしてまして、10 月 16 日の時点で、471 Bqの内部被曝 
891 しています。実際に私朝 7 時半に逃げていますので、木村先生の言ってることわかるんですよ。 
892 そんで実際にこのことを福島医大にも何回も電話かけました。そしたら「爆発前に逃げてれば内 
893 部被曝は起きてない」という回答でした。特に私の場合は 12 日の朝 7 時半に逃げて 3 月 20 日 
894 前後に鼻血が 2 日間止まらなかったんです。その後帯状疱疹になったりいろいろしたもんですか 
895 ら、福島医大に何回も電話をかけました。県の方にもかけましたし、国の方にもかけたんですが、 
896 電話は取り合ってくれません。「こちらに電話してください、こちらに電話してください」とい 
897 うことで全然取り合ってくれません。実際に私がもう福島医大のある人からは「食べ物、放射能 
898 の食べ物を食べたでしょう」と言われたんですが、実は私は逃げてから、こんなことを言うとみ 
899 んなに叱られますが、私は福島県、宮城県、あと岩手県の一部、千葉県と茨城県、あとお茶も一 
900 切飲んでおりません。お茶にも放射能があるということで一切飲んでいませんし、体内被曝は考
901 えられません。そして魚は太平洋の魚は全然食べていません。私は、魚は全部日本海の魚を食べ
902 てますし、寿司はわざわざ山形県の酒田まで行って食べています。徹底して私は放射能は食べて 
903 ませんので、体内被曝は 3 月 12 日の朝 7 時半まで、3 時 45 分から私は工務店やってましたので、 
904 自分の建築した家を全部電気をつけて確認するために、山田地区と大熊町の野上地区を駆け足で 
905 回って見て歩きました。その間に被曝したというのは自分でもわかってますので、私は政府の発 
906 表は信用できないと、そちらのこちらに電話しているんですが、実際に取り合ってくれません。 
907 鼻血出たのも、2 日間鼻血止まらなかったということも信用していただいていません。それから
908 今木村先生が言っていることは実質的に本当だったなとそういうふうに考えております。以上で
909 す。